東京高等裁判所 昭和37年(ネ)1139号 判決
次に被控訴人の前記商栄会(土地賃借人又は転借人である被控訴人及び控訴人等合計十七名がそれぞれ店舖営業のため組織した団体)の経費分担料一日金二十円の割合による金員支払請求の点について判断するに、被控訴人が同会を代表する者であることは控訴人もこれを認めるところであるが、被控訴人が同会の名において又は会員等の選定当事者としてでなく(なお被控訴人は前段転貸土地明渡等の請求については転貸人五名の選定当事者であるが右経費分担料等の請求については選定当事者でない)、個人の名において同会のために経費分担料等の支払訴訟を提起する権限を信託的に付与されていたことについては、甲第一号証、乙第一、二号証、原審における被控訴人本人の供述によつてもこれを肯認するに足りるものではなく、他にこれを認めるに足りる証拠資料はない。しかも一般に訴訟上の主体として訴訟を追行する権能は、権利主体の全く任意にこれを他に与えること(いわゆる任意的訴訟信託)は許されないものとするのが相当であり、本件の場合においてもその訴訟信託は許されないものというべきであるから、被控訴人のこの点の請求はその当事者適格を欠く不適法なものとして失当である。
(村木 元岡 渡部)